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遺言執行者を選任した場合のデメリットを把握する

遺言執行者を選任した場合のデメリットを把握

「遺言執行者を選ぶとデメリットがあるのか…」
「どのようなデメリットがあるのか教えて欲しい!」
「遺言執行者を選ぶデメリットを具体的に知りたい!」

上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。

遺言書は、遺言者の意思表示を書面に残すことができます。遺言者は財産や身分に関することを記載でき、遺言執行者や相続人に執行してもらえます。さらに、遺言執行者を指定することで円滑に手続きを進めることが可能になるでしょう。遺言執行者を選任するとさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。今後、作成する遺言書に遺言執行者を指定する方は選任するデメリットについて把握しておきましょう。

今回は、遺言執行者を選任すると3つのデメリットについてご紹介します。この記事を最後まで読んだ方は、遺言執行者を選任するデメリットを理解できるでしょう。

遺言書の基礎知識

遺言書は、遺言者の意思表示を書面に残すことができるものです。遺言者は相続等の場面において遺言書を利用することで、未然に相続人同士のトラブルを防げるでしょう。遺言書は、主に3種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)に分かれており、遺言書の状況により選択するものを決めます。

以下では、遺言書に関する4つの項目に注目します。

・自筆証書遺言とは
・公正証書遺言とは
・自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは
・遺言執行者とは

ここでは、遺言書の基礎知識を項目ごとにご紹介します。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者が手書きで作成する遺言書のことを指します。遺言者は自宅において「紙」・「ペン」・「印鑑」を用意すれば、遺言書を作成することが可能です。遺言書を作成する際は、自らのペースで遺言の内容(※全文)を書けます。遺言者は時間や周囲の目を気にすることなく、落ち着いた状態で遺言書を完成できるでしょう。

自宅で遺言書を作成する場合、紙とペンを用意し手書きで全文を書きます。手書きで作成する際には「誤字脱字のチェック」と「法的に有効な要件(※1)を満たしている」の2つに気をつける必要があります。

遺言者は法的に有効な遺言書を完成できるように、丁寧に作成することが大事です。

完成した遺言書は、2つの選択肢から保管方法を決めます。1つ目は、遺言者本人の自宅で保管する方法です。自宅での保管場所に指定はないため、自由に決めることが可能です。ただし、相続人が見つけにくい場所に保管すると発見されない恐れがあります。

遺言者は、相続人等が遺言書を見つけやすい場所に保管してください。さらに、相続人に遺言書の保管場所を伝えているとスムーズに手続きを進めやすくなるでしょう。

2つ目の方法は自筆証書遺言書保管制度を利用し、法務局にて保管する方法です。自筆証書遺言書保管制度は自筆証書遺言書を対象にしており、自宅での保管・管理に不安を抱いている方に向いている制度です。利用者は遺言書を法務局において保管・管理をしてもらえるため、安心できるでしょう。

自筆証書遺言書保管制度については、別の記事で詳しく解説します。

(※1)「日付」・「氏名」・「押印」・「本文」の項目です。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は遺言者ではなく、公証人(※1)が作成する遺言書のことを指します。遺言者は公証役場(※2)において、公正遺言書を作成します。(※3)また、公証役場等に、「遺言者」・「公証人」・「2名の証人」が集まなければなりません。

公正証書遺言の作成日、公証人は遺言者から遺言の内容を口頭で伝えてもらいながら、真意を確認します。公証人は遺言者の真意であるのか確認した後、事前に作成した公正証書遺言の原案を遺言者と証人にチェックしてもらうのです。(※4)

公証人は遺言者から遺言の内容を口頭で伝えてもらい、真意を確認します。その後、事前に作成していた公正証書遺言の原案を「遺言者」と「証人」に読み聞かさせたり、見てもらったりしながら内容を確かめてもらうのです。(※4)

作成した遺言書に誤りがない場合は、「遺言者」・「公証人」・「証人」が署名と押印を行います。(※5)全ての方の署名と押印を終えることができれば、完成します。完成した公正証書遺言は公職役場において、一定期間保管されます。(※6)

公正証書遺言は安心かつ効力があり、安全に保管できる遺言書です。(※7)(※8)

(※1)法律に関する知識や経験を有しており、法務大臣が任命した人物です。
(※2)業務を執行する事務所のことです。
(※3)遺言者の体調等により、公証人が自宅や病院に出張することもあります。
(※4)公正証書遺言の原案の確認方法は「見ること」と「聞くこと」の2つです。
(※5)公証人は署名した上で、職印を押します。
(※6)公証人法施行規則により、20年間保管されます。
(※7)無効確認訴訟により法的に無効となることもあります。
(※8)遺言書は種類によって、効力が強弱するわけではありません。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いとして、遺言書を作成する人物が挙げられます。どちらの遺言書を選択するのかによって、作成する人物が変わってきます。

自筆証書遺言の場合は、遺言者本人が作成します。遺言者は法的な要件を満たしながら、丁寧に作成しなければなりません。遺言書の内容に誤りや誤字脱字がある場合は、無効になる可能性があります。

一方、公正証書遺言は公証人が公証役場において作成します。公証人は、法律の知識や経験・遺言書の方式を理解しています。また、作成の際には遺言者と証人がいるため、遺言の内容を確認してもらえます。

公正証書遺言は、有効かつ効力のある遺言書と言えるでしょう。(※1)

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いとして、他にも以下のような項目が挙げられます。

・検認の有無
・証人の有無
・費用の有無
・保管方法

遺言者は自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを確認した上で、自らの条件に合ったものを選んでください。

(※1)無効確認訴訟により、無効になる可能性があります。

遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言者が作成した遺言書(※有効なもの)に記載されている内容を執行する人物のことを指します。遺言者は、遺言執行者を指定することができます。指名された人物は就任をするのか判断した上で、各種手続きを執行するのです。

例えば、相続に関する遺言の内容を執行する場合、相続人を調査したり、財産を調査したりします。そして、財産目録を作成し各種の手続きを進めていきます。また、相続人の調査をした上で法定相続人が確定した際には、相続人全員に就任した旨も伝えなければなりません。(※1)

遺言執行者は相続人と協力せずに単独で相続等の手続きを進めることが可能です。さらに、遺言執行者のみに与えられている権限も存在します。(※2)

遺言執行者は遺言書の内容に従い、円滑に各種手続きを進める重要な役割を担っています。

(※1)民法1007条で定められています。
(※2)子どもの認知や相続人の廃除に関しては、遺言執行者のみの権限が与えられています。

遺言執行者を選任する3つのデメリット

遺言執行者を選任した場合、単独で各種手続きができるため、効率的に業務を進められます。相続人は手続きに関する負担を軽減できるでしょう。ただし、遺言執行者を選任することで、デメリットになる面もあります。

以下が、遺言執行者を選任した場合のデメリットです。

・デメリット①:各種手続きが進まない可能性がある
・デメリット②:指名した人物に断られる場合がある
・デメリット③:相続人等との関係が険悪になることがある

ここでは、遺言執行者を選任するデメリットを項目ごとにご紹介します。

デメリット①:各種手続きが進まない可能性がある

1つ目のデメリットは、各種手続きが進まない可能性があることです。なぜなら、法律に関する知識や経験のない方にとって、各種手続きが想定より負担になることがあるからです。また、途中で手続きを止めてしまうリスクもあります。

例えば、法律に関する知識のない方が遺言執行者に就任した場合、法律用語や基礎的な知識を理解しなければなりません。また、必要に応じ書類等を集めたり、財産目録を作成したりします。遺言執行者にとって、各種手続きが負担になる恐れがあります。そのため、相続等の手続きが進まないこともあるでしょう。

遺言執行者を指名する際は、相続等の各種手続きに対応できる人物を選びましょう。

デメリット②:指名した人物に断られる場合がある

2つ目のデメリットは、指名した人物に断られる場合があることです。なぜなら、遺言執行者に指名された人物には就任にするのか判断した上で決定できるからです。

例えば、遺言者から遺言執行者に指名された場合、就任するのか判断します。遺言執行者は遺言の内容に従い各種手続きをしなければならず、時間や労力を費やす可能性もあるでしょう。また、難しい内容を理解しながら、手続きを進める必要があります。

遺言者は遺言執行者に指名した人物から就任を断られることも踏まえ、人選しましょう。人選する場合は、専門家や法律的な知識を持っている人物を含めた上で検討してください。

デメリット③:相続人等との関係が険悪になることがある

3つ目のデメリットは、相続人等との関係が険悪になることがあることです。なぜなら、遺言の内容に納得していない相続人が遺言執行者に対し、不満を抱く可能性があるからです。

例えば、複数人の相続人がいる場合、一人だけ遺言の内容に納得せず、遺言執行者との関係が険悪になることもあります。さらに、相続人同士がトラブルになってしまう恐れがあるでしょう。

遺言執行者は各相続人とやり取りを行い、円滑に手続きを進めなければなりません。

弊所はご依頼者様を全力でサポートします

弊所では、ご依頼者様に負担をかけないサービスを提供できるように改善しながら業務に取り組んでいます。ご依頼者様には印鑑1本を用意していただければ、素早く手続きが完了できることを目指しています。また、ヒアリングを行いながら、ご依頼者様にかかる精神的な負担も減らせるように努めています。

弊所では法律上取り扱えない分野に関して、各法律家(弁護士・司法書士・税理士)にお繋ぎいたします。事案の相談から解決まで、最後まで全力でバックアップします。

遺言書に関する悩みや疑問は専門家に相談する

遺言書に関する悩みを抱えている方は、一度専門家に相談してください。専門家は遺言書に関する知識や経験を有しており、ご相談者様に適切なアドバイスを行えます。また、ご相談者様に代わり、書類収集や証人の手配などの手続きを進めてくれます。

例えば、専門家に遺言書の作成を依頼した場合、証人の手配や各所への連絡をしてくれます。また、ご依頼者様が納得できる遺言書を作成できるようにアドバイスを行ってくれるでしょう。ご依頼者様は遺言の作成に費やす時間や労力を減らしながら、効率的に法的に有効な遺言書を作成できます。遺言書に関する疑問を抱えている方は、専門家に相談しましょう。

結論

今回の記事では、遺言執行者を選任すると3つのデメリットについてご紹介しました。遺言書執行者を選任するとさまざまなメリットがある一方、手続きが進まなかったり、相続人等の関係が悪化したりとデメリットの面も存在します。遺言者は遺言執行者のデメリットを把握した上で、選任するのか判断しましょう。遺言執行者を選任する場合は、行政書士等の専門家に依頼するとスムーズに各種手続きを進められます。遺言に関する悩みや疑問を抱えている方は、一度弊所に相談してください。

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