長岡行政書士事務所監修
長岡行政書士事務所監修
「相続の遺産分割協議ってなに?」
「遺産分割協議は、どのような手順で行うのか…」
「円滑に協議を進める方法を知りたい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
相続人が被相続人の財産を分割する際に、遺産分割協議を行います。遺産分割協議では相続人が集まり、被相続人の財産について話し合われます。相続人の中で協議の段取りや司会・進行を任された方は、全体の流れを把握する必要があるでしょう。初めて遺産分割協議を行う場合は、早めに準備を進めることが望ましいです。
今回は、遺産分割協議について解説します。また、円滑に協議を進める方法をご紹介します。この記事を最後まで読んだ方は、遺産分割協議を円滑に進められるでしょう。
遺産分割協議とは、相続人が被相続人(亡くなった方)の財産の分割方法を話し合うことです。相続人は、各財産について相続する対象者や分割する割合を決めます。未成年者の相続人がいる時は、法定代理人または特別代理人等が参加することもあり得ます。
例えば、3人の相続人がいる場合、全員が集まった上で協議を進めます。また、遠方に住んでいる相続人はWeb会議システムや電話などで参加することも可能です。遺産分割協議の当日にやむを得ない理由で直接参加できない方は電話やメールを使い、話し合いに加われます。相続人は、財産を各自公平に分けることを考えながら協議をすると円満にまとまることが多いです。
遺産分割協議は相続人全員の合意が得られなければ、成立しません。相続人の中に協議した分割方法に不服がある場合は、別の手段を取る必要があります。別の手段としては、家庭裁判所に申し出て、「遺産分割調停」が行われます。遺産分割協議がまとまらない場合は、「遺産分割調停」を利用することも検討しましょう。
遺産分割協議を行うタイミングは、被相続人が亡くなった日からできる限り早い日時が良いです。なぜなら、相続税の対象になる遺産を相続すると、10カ月以内に申告・納税をしなければならないからです。
例えば、複数の遺産を相続した場合、相続税がかかってしまうこともあります。
複数の相続人で遺産分割協議を行う際は、早めに話し合いをしてください。
遺産分割協議では、相続人全員が話し合った内容に合意する必要があります。相続人全員の合意が得られない場合は、遺産分割協議書を作成できません。遺産分割協議を進めるためには、基本的な手順を把握した上で進めてください。
以下が、遺産分割協議を進める手順です。
・遺言書の有無を確認
・相続人の調査と確定
・相続財産の調査と確定
・遺産分割協議を開始
ここでは、手順の各項目についてご紹介します。
まずは、遺言書の有無を確認します。被相続人が遺言書を残していないのか把握することで、相続の手続きが変わります。
例えば、有効な遺言書が発見された場合、被相続人の意向に沿った相続を進められます。また、相続人が知らない情報を記載しているケースもあり、確認するべきでしょう。相続人は遺言書の有無について、さまざまな場所を探してください。
遺言書を調査する方法として公正証書であれば、公証役場で確認できます。(※電子化されたものに限る)自筆証書の場合は自宅の金庫に保管したり、「貸金庫」や「専門家」に預けていることもあり得るでしょう。遺言書によって遺産相続の分割や手続きの方法が変わるため、できる限りの保管場所を調査しましょう。
遺言書については、別の記事で詳しくご紹介します。
次に、相続人の調査と確定を行います。相続人を調査する方は、被相続人の戸籍謄本(出生してから死亡するまでの間)を全て集めてください。なぜなら、相続人に関することを調べることができ、対象者を確定できるからです。
例えば、被相続人が再婚の場合、前妻との間に子どもがいることもあります。また、被相続人しか把握できない情報が見つかるケースもあるでしょう。被相続人の全ての戸籍謄本を調べることで、確実な情報を得られます。
調査後、明らかになった情報から相続人を確定させます。相続人の調査から確定までの一連の工程は、想定以上に時間を費やす可能性があります。早めに調査を行い、相続人を確定させましょう。
全ての相続人が確定した後、被相続人の財産の調査と確定を行います。相続財産はさまざまな資産と負債があるため、全ての情報を把握するまでに時間がかかる可能性があります。
例えば、複数の預貯金や有価証券を所有している場合、各財産を調査しなければなりません。また、借金や住宅ローンなどの負債が見つかることもあります。相続人は資産と負債の両方を相続するため、正確な情報を調査してください。全ての財産の調査が完了した際は「財産目録」を作成しておくと後ほどの協議で役に立つでしょう。
最後に遺産分割協議を行い、相続人同士が財産の分割方法を決定します。遺産分割協議は相続人で話し合った結果、全員の合意が必要になります。
例えば、5人の相続人が分割方法を話し合った場合、4人の合意だけでは成立しません。遺産分割協議が成立するためには相続人全員の合意が得らなければならないため、綿密な話し合いが必要です。協議の際は、全ての相続人が納得する内容にしましょう。
相続人全員の合意が得た場合は、遺産分割協議書を作成してください。遺産分割協議書は話し合いの結果、合意に至った内容を記載します。遺産相続で提出が求められる場面があるため、遺産分割協議書を作成しましょう。(※状況によって、作成しなくても問題ありません)
遺産分割協議書が必要ないケースについては、別の記事で詳しく解説します。
遺産分割協議では相続人同士が話し合い、それぞれの遺産の分割方法を決めます。遺産の分割方法を決める際にはいくつかのポイントを押さえたり、事前に準備したりすることで円滑に進められます。
以下が、遺産分割協議を円滑に進める方法・対策です。
・冷静に話し合いを進める
・Web会議システムを活用する
・財産目録を作成する
・定期的に連絡を取り合う
ここでは、円滑に進める方法・対策を項目ごとに見ていきましょう。
1つ目の方法と対策は、遺産分割協議の際は冷静に話し合いを進めることです。なぜなら、冷静に話し合うことで相続人全員の合意を得られやすくなるからです。
例えば、複数の相続人が協議を行う場合、冷静かつ客観的な対応・判断をすると話がまとまりやすいでしょう。しかし、相続人が感情的に話すと自己主張が強くなり、対立してしまうリスクが高くなります。
相続人は冷静に話し合うことを心掛けることで、他の相続人との折り合いがつくでしょう。
2つ目の方法と対策は、Web会議システムを活用することです。なぜなら、遠隔地に住んでいる相続人が協議に参加できないケースがあるからです。
例えば、遠隔地に住んでいる相続人が参加する場合、Web会議システムを使うと日程や協議する場所が決めやすくなります。療養中で移動が困難な方は、Web会議システムの方がスムーズに参加できるでしょう。
相続人の中でまとめ役を任された方は、各相続人の状況を考慮した上でWeb会議システムを導入してください。
3つ目の方法と対策は、財産目録を作成することです。財産目録とは、全ての財産(資産と負債)をまとめた書類です。財産を記載する際は区分や種類ごとに分け、見分けをつきやすいようにします。
例えば、書類に複数の資産を記載する場合は、「現金」・「預貯金」・「有価証券」などに分けます。複数の預貯金がある場合は金融機関ごとに記載すると、円滑に協議しやすくなるでしょう。
財産目録は遺産分割協議を行う上で、役に立つ書類です。時間的にゆとりがある方は財産目録を作成すると良いでしょう。
財産目録に関しては、別の記事で詳しく解説します。
4つ目の方法と対策は、相続人同士が定期的に連絡を取り合うことです。なぜなら、日頃から連絡を取り合っていない者同士が協議したとしても、まとまらない可能性があるからです。また、相続人同士の仲が良くないと意見が対立してしまう恐れがあります。
例えば、定期的に連絡を取り合っている場合、日頃から相続に関する会話や双方の状況などを話し合い把握しています。相続人同士が日頃から繋がりを持っていることで、相続の際にもお互いを助け合う気持ちが持てるでしょう。
各家庭によって、さまざまな理由から相続人同士が連絡を取っていないケースがあります。可能であれば、他の相続人が仲を取り持ちながら交流する機会を作りましょう。
遺産分割協議では複数の相続人が話し合いますが、まとまらないケースもあります。話し合いがまとまらずに相続人全員の合意を得られない時は、家庭裁判所に申し立てを行います。
例えば、遺産分割協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所で調停や審判を行う手続きに進みます。家庭裁判所の遺産分割調停は、調停委員や家事審判官が相続人から話を聞いたり、新たな提案をしたりします。その結果、各相続人が合意することもあります。遺産分割調停は各相続人の間に調停委員や家事審判官が入り、問題を解決に導く方法です。
遺産分割調停が不成立しない場合は審判によって、分割方法が決まります。裁判所が相続人の分割方法を決めるため、これ以上分割の問題が悪化することはありません。ただし、相続人同士の仲が悪化することもあるため、話し合いで解決することが望ましいでしょう。
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遺産相続の悩みや疑問を抱いている方は、一度専門家に相談しましょう。なぜなら、専門家に相談することで問題や悩みが解決しやすくなるからです。
例えば、遺産相続の手続きに悩んでいる場合、各状況に合ったアドバイスを受けたり、代行したりとサポートしてもらえます。豊富な知識や経験を持っている専門家は、迅速かつ的確なアドバイスや行動をしてくれます。遺産相続に関する悩みや不安は、専門家に相談することをおすすめします。
今回の記事では相続の遺産分割協議について、円滑に進める方法をご紹介しました。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要になるため、早いうちから話し合いを行ってください。また、話し合いの際には冷静な対応を心掛けて、相続人全員が納得できる結論を出しましょう。遺産相続に関する問題や悩みを抱えている方は、一度専門家に相談してください。
長岡行政書士事務所代表
横浜市港南区に事務所を構え、過去500件以上の相続や遺言等の経験から、不安を抱えるお客様の直面している課題をいかに負担少なく解決するかを考え実現している。