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任意後見人とは?役割や選任方法を解説!

任意後見人とは? 役割や選任方法を解説!

任意後見人は被後見人をサポートする人物

「任意後見人とはなにか…」
「どのような役割があるのか知りたい!」
「任意後見人を選任する方法を教えて欲しい!」

上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。

任意後見制度では被後見人の支援や保護をするために、任意後見人を選びます。選任された方は自らの業務を遂行し、被後見人の財務管理や身上監護を行います。成年後見制度を利用する方は、任意後見人の役割や選任方法を理解しておく必要があるでしょう。

今回は、任意後見人について役割や選任方法を解説します。この記事を最後まで読んだ方は、任意後見制度を利用する際に円滑に手続きを進められるでしょう。

任意後見人とは

任意後見人とは、任意後見制度を利用する被後見人が選任する人物のことを指します。被後見人は、将来的に自らの財務管理や身上監護などを任せる人物を選ぶのです。その後、後見内容について決められます。

後見内容は、被後見人の意向に沿った内容で自由に決めることが可能です。(※ただし、法律に反しない行為に限ります)

被後見人は任意後見人(※契約の効力が生じるまでは、任意後見受任者と呼びます)と後見内容を話し合った後、公証役場において公証人が作成した書類(※公正証書)で任意後見契約を結びます。(※1)

任意後見契約の類型(移行型・即効型・将来型)によって、任意後見人の業務が開始されるタイミングが異なります。そのため、被後見人がどのような類型を選ぶのか把握しておく必要があるでしょう。

任意後見契約を結んだ場合、申立人(※2)が被後見人の状態を判断し、家庭裁判所へ申立てを行います。家庭裁判所は申立てを受け、任意後見監督人を選任します。任意後見監督人を選任すると、任意後見契約に基づいた任意後見人の業務が始まるのです。

任意後見人は任意後見監督人の下、被後見人の支援や保護を行います。

(※1)任意後見契約とは、別に財産管理委任契約や死後事務委任契約を同時に結ぶケースもあります。
(※2)申立人は「本人」・「配偶者」・「四親等内の親族」・「任意後見受任者」に限られています。

任意後見人の役割

任意後見人は、被後見人の支援や保護を行います。また、後見内容に沿った業務を行いながら日常生活をサポートします。

以下が任意後見人の主な役割です。

①財産管理
②身上監護
③報告義務

ここでは、任意後見の役割を項目ごとにご紹介します。

①財産管理

1つ目の役割は、被後見人の財産を管理することです。任意後見人は被後見人に代わり、財産(預貯金や不動産など)の管理を行います。

以下が、任意後見人が管理する主な財産一覧です。

・預貯金等の管理
・有価証券(株券・国債・社債など)の管理
・不動産の管理
・年金の管理
・税金等の支払い
・公共料金等の支払い
・その他(新たな契約等の法律行為)

被後見人は本人の財産管理を行い、不利益が生じないように業務を遂行します。仮に任意後見人が被後見人との利益で相反する法律行為を行った場合は、任意後見監督人が被後見人本人を代理することも起こり得るでしょう。

任意後見人は任意後見監督人の下、適切な業務を行う必要があります。

②身上監護

2つ目の役割は、被後見人の日常生活を支える身上監護が挙げられます。身上監護とは、被後見人の生活を維持したり、療養看護に関する手続きをしたりすることを指します。任意後見人は被後見人の意向を尊重しながら、体調や生活の状態に合った配慮をしなければなりません。

以下が、任意後見人が身上監護を行う主な項目一覧です。

・要介護認定の申請を行う手続き
・医療契約を締結する
・介護サービスの契約を締結する
・介護費用の支払い
・入院する際の手続き
・入院費用の支払い
・老人ホームに入居する契約

任意後見人は、被後見人の「生活面」・「医療面」・「介護面」に関する手続き等を行います。また、被後見人の体調や後見内容を確認し、状況に合った方法を選択する必要があるでしょう。

③報告義務

3つ目は報告義務です。任意後見契約の効力が生じた後(※1)、任意後見人は任意後見監督人に対し、初回報告を行わなけれなりません。初回報告の際は、約1ヶ月以内に「任意後見事務報告書」・「財産目録」・「収支予定表」を提出します。

その後、任意後見人は任意後見監督人に定期的な報告を行います。定期報告をする際は、「報告書」・「財産目録」・「資料等」を用意してください。(※2)

被後見人が亡くなった場合は家庭裁判所に死亡診断書もしくは除籍謄本のコピーを添え、報告します。(※期間は2カ月以内)

任意後見人は被後見人の支援や保護を行いながら、定期的に報告をしてください。

(※1)任意後見監督人が家庭裁判所から選任に関する書類(審判書謄本)を受け取る時です。
(※2)任意後見監督人は定期的に任意後見監督事務報告書を提出します。

任意後見人に選ばれる方・選ばれない方

任意後見人は、被後見人の財務管理や身上監護を任されています。役割を任される人物は、職務を遂行できる能力等が求められるでしょう。

以下では、任意後見人の選任に関する2つの項目を挙げています。

・選ばれる方
・選ばれない方

ここでは、任意後見に選ばれる方と選ばれない方を項目ごとにご紹介します。

選ばれる方

任意後見人に選ばれる方として、特別な資格を持っている必要はありません。被後見人は選任の基準(※1)を満たしていれば、親族や親交のある人物を選ぶことができます。そのため、被後見人は幅広い対象者の中(※専門家を含む)から自らの望む人物を選任できるのです。

(※1)対象外となる事項に該当しない人物に限ります。

選ばれない方

被後見人が任意後見人を選任する際には、以下に該当する方を選ぶことができません。

・未成年者
・行方不明者
・破産者
・該当する法定代理人(※家庭裁判所に解任された人物)
・該当する保佐人(※家庭裁判所に解任された人物)
・該当する補助人(※家庭裁判所に解任された人物)
・被後見人に訴訟中の者
・被後見人に訴訟したことがある者
・被後見人に訴訟中もしくは訴訟したことがある者の配偶者
・被後見人に訴訟中もしくは訴訟したことがある者の直系血族
・不正行為等で任意後見人に適していない者

任意後見人は、被後見人の意向に沿った人物を選ぶことができます。ただし、上記に該当する方は選任することができません。被後見人は、上記に該当しない方の中から任意後見人を任せられる人物を選んでください。任意後見人は1人ではなく、複数人を選任することも可能です。被後見人は自らの信頼できる人物を選任した上で、任意後見契約を結びましょう。

任意後見人の報酬

任意後見人の報酬は、被後見人者との話し合いで決定します。一般的に任意後見人を第三者に依頼した場合は、ある程度の報酬を支払うことが多いです。報酬金額は、話し合いによって決まります。ただし、親族等が任意後見人を務める場合は、無報酬になるケースが多いでしょう。

任意後見監督人の場合は、家庭裁判所の判断によって報酬が支払われます。報酬額は家庭裁判所が事案ごとに判断し、適切な額を決定するのです。(※1)決定した報酬額は、被後見人の財産(※任意後見人が管理している状態)から支払われます。

以下に、成年後見監督人等の報酬金額の金額の目安を記載しています。

任意後見監督人の基本報酬(成年後見監督人・保佐監督人・補助監督人も同様)

・管理財産額5,000万円以下の場合・・・月額1万円から2万円
・管理財産額5,000万円以上の場合・・・月額2万5000円から3万円

参照元:裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」

参照URL:
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/vc-files/tokyo-f/file/0102.pdf

(※1)報酬金額は「被後見人の財産」・「事案の業務内容」・「その他の事情」などを総合的に判断して決定します。

任意後見人が事務を始めるまでの流れ

被後見人は任意後見制度を利用するために、任意後見契約を結びます。任意後見契約を締結した時点では、任意後見人の事務が開始されるわけではありません。

任意後見制度の利用から開始までの流れは、以下のようになります。

1.任意後見人の選任(※1)
2.被後見人と任意後見人との間で任意後見契約を結ぶ(※2)
3.被後見人が自らの判断能力への不安を感じる
4.申立人が家庭裁判所に申立てを行う
5.家庭裁判所が任意後見監督人を選任する
6.任意後見契約の効力が生じる
7.任意後見人の事務が開始する

被後見人本人以外の方が申立てを行った場合は本人の同意を得られなければ、任意後見監督人を選任する審判を進められません。ただし、被後見人本人が意思表示できないケースにおいては、同意を得ずに審判をすることができます。

任意後見契約の効力が生じた後、任意後見人は速やかに後見内容に沿った事務を行ってください。

(※1)被後見人本人が被後見人を自由に選ぶことが可能です。ただし、任意後見人になれない方は対象外になります。
(※2)公証人が作成する公正証書で契約を締結させます。この時点では、任意後見人のことを任意後見受任者と呼びます。

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結論

今回の記事では、任意後見人について役割や選任方法を解説しました。任意後見人は、被後見人を支援したり、保護したりと日常の生活を送るために大事な存在です。選任された方は被後見人の財務管理や身上監護に加え、被後見人の意向に沿ったサポートをする必要があります。任意後見人は使命感を持ちながら、円滑にさまざまな事務を進めていきましょう。任意後見に関する不安や悩みを抱えている方は、専門家に相談してください。

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