長岡行政書士事務所監修

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法定後見制度の手続きの流れを解説!

法定後見制度の手続きの流れを解説!

各種の手続きを理解することが大事

「法定後見制度の手続きって難しそう…」
「何から手続きをすればよいのか分からない…」
「法定後見制度の手続きの流れを教えて欲しい!」

上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。

法定後見制度は、被後見人の判断能力が不十分な場合に利用できる制度です。この制度は申立人の申立てによって、手続きを進めることができます。申立人は法定後見制度を利用する場合、各手続きを理解しておく必要があるでしょう。

今回は、法定後見制度の手続きの流れを解説します。さらに法定後見制度の後見人等になれない方を見ていきましょう。この記事を最後まで読んだ方は、円滑に法定後見制度の手続きを進められるでしょう。

法定後見制度を知る

法定後見制度では、判断能力が不十分な方(※1)を支援や保護をする制度です。この制度は、申立人(※2)が家庭裁判所へ申立てを行うことで審理されます。家庭裁判所は申立ての事案を審理し、成年後見人等を選任します。成年後見人等は「成年後見人」・「保佐人」・「補助人」に分かれており、それぞれの権限や役目が異なります。

例えば、成年後見人の場合、被後見人が結んだ新たな契約について取り消せます(※取消権)。成年後見人は被後見人にとって、不利益になる契約を取り消すことが可能です。家庭裁判所から選任された成年後見人等はそれぞれの役割を果たしながら、被後見人の支援や保護を行います。

法定後見制度は被後見人の判断能力によって、成年後見人等の支援や保護をする権限や範囲が変わってきます。

法定後見制度を検討している場合は成年後見人等に与えられる権利や権限を把握した上で、利用しましょう。

(※1)認知症・知的障がい・精神的な障がいなど
(※2)本人・配偶者・四親等内の親族・検察官・市町村長など

法定後見制度の後見人等になれない方

成年後見人等は、被後見人の財産管理や身上監護などを行う重要な役割を担っています。選任される人物は一定の条件を満たさなければ、被後見人等に選任されません。

以下に、成年後見人等に選任されない人物を挙げています。

・未成年者
・行方不明者
・破産者
・被後見人と訴訟中の者
・被後見人と訴訟した者
・被後見人と訴訟した者の配偶者
・被後見人と訴訟した者の直系血族
・家庭裁判所で解任された法定代理人
・家庭裁判所で解任された保佐人
・家庭裁判所で解任された補助人

成年後見人等は、家庭裁判所が選任した人物に任せられます。原則、成年後見人等の選任に関する不服申し立てをすることができません。(※ただし、例外のケースも存在します。)
家庭裁判所が選任する人物の中には、専門家(法律・福祉)や福祉関係の法人も該当します。

法定後見制度の手続きの流れ

法定後見制度を利用する場合は、1つずつ手続きを進めていくようにしましょう。申立てを行った後、複数の工程を経た上で法定後見制度を利用することができます。

以下が、法定後見制度を利用するまでの手続きの流れです。

1.申立て(家庭裁判所へ)
2.審理開始(家庭裁判所)
3.面接①(申立人と後見人等候補者)
4.面接②(裁判官と本人)
5.意向紹介(裁判官が親族に対して行う)
6.鑑定依頼・診断(医師へ)
7.審判(家庭裁判所)
8.後見登記
9.成年後見人等の業務が開始

ここでは、法定後見制度の手続きの流れを項目に分けご紹介します。

1.申立て(家庭裁判所へ)

申立人は、家庭裁判所に申立てを行います。申立てをする際は、必要な書類(戸籍謄本や診断書など)や申立書類一式(後見開始申立書や財産目録など)を用意し提出します。(※事前に医師の診断書を習得しておきます。)
申立人は事前に必要な書類一式を準備し、申立先の家庭裁判所の住所や場所を確認しましょう。また、事前に家庭裁判所との面接日を予約しておくとスムーズに手続きを進められます。

申立人が事前に準備するべき書類等に関しては、他の記事で詳しくご紹介します。

2.審理開始(家庭裁判所)

申立て後、家庭裁判所では事案の審理を行います。審理とは、担当の裁判官が提出した書類の審査や不備のチェックを行った上で、本人の状況や環境を総合的に考慮することを指します。実施期間は数か月で終わりますが、繁忙期や事案によって異なることもあるでしょう。申立人は早めに申立ての準備を行い、円滑に手続きを進められるようにしてください。

3.面接①(申立人と後見人等候補者)

審理を開始後、参与員(※非常勤の裁判所の職員)が申立人や後見人等候補者と面接を行います。面接では、申立てまでの事情や対象者本人の状況などを確認するのです。所要時間は、1時間から2時間ほどかかります。(※状況によっては、電話で行うこともあります。)

当日の持参物は、「本人確認書類」・「印鑑(申立書に捺印したもの)」・「申立書類のコピー」・「関連資料」などが挙げられます。申立人等は事前に準備を行い、面接当日に慌てないようにしましょう。

4.面接②(裁判官と本人)

裁判官が本人との面接を必要と判断した場合は、直接行います。(※1)面接場所は原則、家庭裁判所で行われますが、本人の体調等で変更されるケースもあります。(※入院している病院や自宅などに担当者が出張することもあります。)

(※1)本人の判断能力によって、面接が無いこともあり得ます。

5.意向照会(裁判官が親族に対して行う)

裁判官は本人の親族に対し、面接を行うことがあります。面接では申立てや後見人等の候補者について、親族の意向を確認するのです。申立ての際に同意書(親族全員)を提出していると、面接が行われないケースもあり得ます。

仮に、申立人や後見人候補者が親族への面接を望まないことを伝えられたとしても、反映されません。意向照会は面接官の判断によって、実施の有無が決まります。

6.鑑定依頼・診断(医師へ)

申立人が提出した診断書や面接等で得た情報だけでは判断できない場合、裁判所から医師へ鑑定や診断の依頼を行います。裁判官は、診断書等で得た情報から本人の判断能力を把握できない時に実施することがあります。

通常、医師への鑑定や診断は、本人の主治医へ依頼することが多いです。ただし、状況によっては主治医以外の医師へ依頼するケースもあるでしょう。裁判所が本人の判断能力を明確にしている場合は、実施されません。

7.審判(家庭裁判所)

家庭裁判所は申立人から提出された書類や調査した内容を踏まえ、審判をします。審判とは、さまざまな情報を基に判断を決定する手続きのことです。

成年後見の申立ての場合は後見開始の審判だけではなく、同時に成年後見人等の選任も進められます。(※場合によっては、成年後見監督人を選任されることもあります。)

その後、審判書(※審判の内容を記載した書類)が成年後見人に送られます。成年後見人等から2週間以内に不服申立てが行われなければ、後見開始の審判の効力が確定するのです。仮に不服申立てがある場合、審判が確定する前に行います。(※即時抗告)

8.後見登記

審判が確定後、裁判所は法務局へ後見登記の依頼を行います。後見登記とは、後見人等の氏名や権限などを記載することです。この手続きは、裁判所が依頼してから約2週間で完了します。完了後、後見人等へ登記番号が通知されます。

通知番号を受け取った後見人等は、法務局において登記事項証明書を取得する必要があります。登記事項証明書は被後見人の預金口座を解約したり、財産を調査したりする際に使用します。また、他の後見人等の業務を行う時にも必要になるでしょう。成年後見人等に選ばれた方は、早急に登記事項証明書を取得しましょう。

9.成年後見人等の業務が開始

成年後見人等に選任された方は、被後見人の財産目録を作成します。財産目録は、被後見人の財産を調査した上でリスト化したものです。審判が確定した後、成年後見人等は1ヶ月以内に裁判所へ提出する必要があります。他にも、銀行等の金融機関や市町村役場への届出を行い、手続きを進めます。

成年後見人等は被後見人等の支援や保護を行いながら、円滑に業務を遂行します。

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法定後見制度に関する悩みや疑問は専門家に相談する

法定後見制度の悩みや不安を抱いている方は、専門家に相談しましょう。専門家は成年後見制度に関する知識や経験を持っており、効率的に問題を解決へ導くことが可能です。また、ご依頼者様に代わり、さまざまな手続きを進めてくれます。

例えば、成年後見制度を利用する場合、専門家に相談することで的確なアドバイスを受けられます。さらに、相談者の状況を把握した上で最善の策を提案してくれるでしょう。ご依頼者様は時間や労力を軽減しながら、適切かつ円滑に手続きを行えます。一人で悩みを抱えている場合は、一度専門家に相談してください。

結論

今回の記事では、法定後見制度の手続きの流れを解説しました。法定後見制度は、判断能力が不十分な方を支援や保護をするために有効な制度です。被後見人を支援や保護を行う成年後見人等は裁判所が選任するため、事案に適した人物を期待できます。法定後見制度を利用する方は1つずつ手続きを進めながら、後見開始を目指しましょう。また、手続きに必要となる書類を集め、ミスがないようにしてください。初めて手続きを行う方は、専門家の力を借りると良いでしょう。法定後見制度に関する不安や悩みを抱えている方は、専門家に相談することをおすすめします。

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