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行政書士が解説!秘密証書遺言のデメリットとは?理解するべき5つのポイント!

行政書士が解説! 秘密証書遺言のデメリットとは? 理解するべき5つのポイント!

秘密証書遺言を作成する前にデメリットを把握する

「秘密証書遺言って、どんなものなのか?」
「どのようなデメリットがあるの気になる!」
「秘密証書遺言を詳しく知りたい!」

上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。

秘密証書遺言は、遺言者本人が作成できる遺言書です。遺言書を作成する際は遺言の全文を自筆する必要がなく、パソコンや代筆をすることが可能です。遺言者は本人以外に遺言の内容を知られずに作成できます。秘密証書遺言はメリットがある一方で、デメリットの面もいくつかあります。今後、遺言書を作成する方は、秘密証書遺言のデメリットについて把握しておきましょう。

今回は、秘密証書遺言のデメリットについてご紹介します。この記事を最後まで読んだ方は、納得できる遺言書を作成できるでしょう。

遺言書について

遺言書は、遺言者の意思表示を書面できるものです。遺言者は財産や身分に関することを記載し、遺言執行者等に執行してもらえます。

遺言書は、以下の3つの種類が存在します。

・秘密証書遺言とは
・自筆証書遺言とは
・公正証書遺言とは

ここでは、遺言書について項目ごとにご紹介します。

秘密証書遺言とは

秘密証書遺言とは、遺言者本人以外の方に遺言の内容を知られたなくない場合に用いることができる遺言書です。遺言者は自らが手書きで作成する必要がなく、パソコンでも遺言書を作れます。(※1)また、遺言書の存在を公証役場において公証人(※2)や証人(※3)に証明してもらえます。

例えば、遺言の内容を相続人に知られずに遺言書を作成した場合、秘密証書遺言を使用します。秘密証書遺言は遺言者本人のみが遺言の内容を把握した上で、遺言書を残すことが可能です。

遺言者は、作成する際に内容に誤りがないのか入念に確認しましょう。

書き終えた遺言書(※4)は公証役場に持参し、公証人と2名の証人(※5)の前に出します。そして、遺言者が遺言者本人のものであることを証明してもらうのです。

手続きの流れとしては公証人が封紙に遺言者の名前等の必要事項を記載し、遺言者本人と2名の証人が署名と押印をすることで完成します。

秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の各特徴を活かした遺言書です。

(※1)パソコン以外に代筆で作成することもできます。
(※2)法務大臣が任命した法律の知識や経験を有している人物のことです。
(※3)遺言の内容が遺言者本人の意思であることを確認し、証明する人物のことです。
(※4)封筒を封した状態です。
(※5)事前に手配する必要があります。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者本人が作成する遺言書です。遺言書を作成する際は本人が手書きで遺言の全文を書かなければなりません。(※1)(※2)また、印鑑を忘れずに押す必要があります。

例えば、自筆証書遺言を作成する場合、事前に「紙」・「ペン」・「印鑑」を用意し、自宅等で作成します。作成する場所や時間は遺言者本人の都合に合わせられるため、自由に決めることが可能です。

ただし、作成する際には法的に無効とならない要件(※3)を満たさなければなりません。遺言書を作成する方は必要な要件や誤字脱字をチェックしながら、仕上げてください。

作成した遺言書を保存する方法は2つあり、「自宅」と「自筆証書遺言書保管制度」が挙げられます。遺言者は自らの状況を考慮した上で、保存方法を決めてください。

遺言書の保存方法の1つである自筆証書遺言書保管制度については、別の記事で詳しく解説します。

(※1)パソコンの作成や代筆は認められていません。
(※2)遺言書に添付する財産目録については、民法968条によりパソコン等で作成したものや銀行通帳の写しなどが認められています。
(※3)「日付」・「氏名」・「押印」・「本文」が挙げられます。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは遺言者本人ではなく、公証人が作成する遺言書です。公証人は公証役場(※1)において、遺言者本人と2名の証人(※2)が立ち会った上で遺言書を作成します。ただし、遺言者の体調等で公証人が自宅や病院などに出張することもあります。

公証証書遺言を作成する場合、公証人が遺言者本人から遺言の内容を口頭で聞きます。公証人は遺言者の真意を確かめながら、文章を書いていきます。その後、遺言者本人と2名の証人に文書を確認(※3)してもらうのです。文書に問題がなければ、公証人は公正証書遺言を作成し、完成させます。

公正証書遺言は公証人が遺言書を作成しながら遺言者本人や2名の証人が確認するため、効力かつ証明力のあるものになります。また、公証役場にて遺言書を保管でき、紛失や偽造などのリスクを避けられるでしょう。

(※1)公証人が業務を行う事務所のことを指します。
(※2)民法では、2名以上と定められています。ただし、公証実務において3名以上になることはありません。
(※3)作成した文書を見たり、聞いたりすることです。

秘密証書遺言の5つのデメリット

秘密証書遺言は、遺言者本人以外に遺言の内容を知られずに作成できる遺言書です。また、パソコンや代筆も可能であり、作成しやすくなっています。ただし、秘密証書遺言にもデメリットの部分があります。

以下では、秘密証書遺言のデメリットを5つ挙げています。

・デメリット①:無効になるリスクがある
・デメリット②:検認の必要がある
・デメリット③:紛失する可能性がある
・デメリット④:費用がかかる
・デメリット⑤:手続きが必要になる

ここでは、秘密証書遺言のデメリットを項目ごとにご紹介します。

デメリット①:無効になるリスクがある

1つ目のデメリットは、無効になるリスクがあることです。秘密証書遺言は公証人以外の方が作成するため、遺言の内容に誤りが生じるケースがあるからです。

例えば、秘密証書遺言を作成する場合、遺言者本人以外に遺言の内容を知られることがなく、文章をチェックする方がいません。(※1)遺言者本人が作成する場合は、自らが内容に誤りがないのか確認しなければなりません。

秘密証書遺言を作成する方は、無効になるリスクがあることを覚えておきましょう。

(※1)代筆のケースは、その限りではありません。

デメリット②:検認の必要がある

2つ目のデメリットは、検認の必要があることです。秘密証書遺言は自筆証書遺言と同様に検認が必要になります。ただし、自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、その限りではありません。

相続人は家庭裁判所に見つけた遺言書を提出し、裁判官が遺言書の検認を行います。(※1)仮に、検認の手続きを取らずに遺言書を開封した場合は、5万円以下の過料に処されることもあるでしょう。(※2)

秘密証書遺言は検認をする必要があるため、時間や手間がかかります。また、遺言を執行するためには検認済証明書がついている必要があるため、申請をしなければなりません。(※3)

(※1)相続人等が立ち会う必要があります。
(※2)民法1005条に定められています。
(※3)1通の遺言書に対し、150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。

参照元:裁判所
URL:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/index.html

デメリット③:紛失する可能性がある

3つ目のデメリットは、紛失する可能性があることです。秘密証書遺言は遺言者本人が保管しなければならないため、紛失の恐れがあります。

自宅に遺言書を保管した場合、保管場所がわからなくなったり、災害に遭ったりすることで無くなってしまうケースがあります。また、不要な書類等を捨てる際に誤り、一緒に処分してしまう場合もあるでしょう。

遺言者は、完成した遺言書を紛失しないように保管方法を工夫する必要があります。

デメリット④:費用がかかる

4つ目のデメリットは費用がかかることです。秘密証書遺言を作成する場合は、11,000円の手数料がかかります。(※1)その一方、自筆証書遺言を作成すると手数料等の費用がかかりません。遺言者は、必要なもの(※紙・ペン・印鑑)を用意すれば、作成できます。

秘密証書遺言は自筆証書遺言よりも費用がかかるため、納得した上で作成してください。

(※1)証人を公証役場に紹介してもらった場合、別途に費用がかかります。

デメリット⑤:手続きが必要になる

5つ目のデメリットは、手続きが必要になることです。秘密証書遺言は公証人や証人の前に遺言書を提出し、その存在を認めてもらう必要があります。また、公証役場へ連絡を入れたり、証人を探したりと手間がかかります。

秘密証書遺言を作成する方は、一定の手続きを取らなければならないことを理解しておきましょう。

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遺言書に関する悩みや疑問は専門家に相談する

遺言書に関する悩みや疑問を抱えている方は、一度専門家に相談してください。専門家は遺言書に関する知識や経験を持っており、事案ごとに適切なアドバイスを行えます。また、早期に問題が解決できるようにサポートしてくれます。

例えば、遺言書を作成した場合、専門家に依頼することで円滑に手続きを進めてくれます。また、各所への連絡や手配なども行ってくれるでしょう。ご依頼者様は時間や労力を減らしながら、法的に有効な遺言書を作成できるはずです。遺言書に関する悩みや不安を抱えている方は、一度専門家に相談しましょう。

結論

今回の記事では、秘密証書遺言のデメリットについてご紹介しました。秘密証書遺言はパソコンや代筆で作成でき、使用しやすくなっています。その一方で、無効になったり、紛失したりするリスクがあります。さらに、遺言書を作成するためには費用がかかります。遺言者は、秘密証書遺言のデメリットを理解した上で使用するべきなのか判断しましょう。遺言書に関する悩みがある方は、一度弊所に相談してください。

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