長岡行政書士事務所監修
長岡行政書士事務所監修
「遺産相続の手続きを行いたい」
「相続する方法って、何があるのか…」
「遺産相続の知識を身につけたい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
遺産相続は被相続人(亡くなった人)の財産を引き継ぎますが、さまざま手続きをしなければなりません。相続人(財産を引き継ぐ方)は相続に関する知識を深めつつ、自らに適した方法を取る必要があります。また、スムーズに相続を進められるように方法のみならず、専門用語も理化しておくことが望ましいでしょう。
今回は、遺産相続の種類や対象になる財産をご紹介します。この記事を最後まで読んだ方は、遺産相続に直面した際に冷静な判断や対応ができるでしょう。
相続人は、状況に合った方法で被相続人の財産を引き継ぐための手続きを進めます。以下が、遺産相続の3つの種類です。
・遺言
・遺産分割協議
・遺産分割調停
ここでは、遺産相続の種類を項目ごとにご紹介します。
1つ目は、遺言による相続です。遺言の相続は、被相続人が相続に関する自らの意思を記載した書類(遺言書)を基に行います。遺言書の内容は法定相続よりも優先され、被相続人の意思が尊重されやすくなっています。
例えば、相続人の遺産を分配する場合、被相続人がその旨を記載し、財産の割合を指定することができます。また、法定相続人以外に遺産を相続した際は、遺言書に具体的な内容を書き残します。相続の際に、被相続人の意思が反映されやすくなるのです。遺言書がある際は、遺言による相続が行われることが多いです。
遺言書には「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3つがあります。それぞれの遺言書には特徴があり、生前の状況によって選択が変わってくるでしょう。遺言書に関しては、別の記事で詳しく解説します。
2つ目は、遺産分割協議による相続です。遺産分割協議とは相続人全員が集まり、遺産の分割に関して話し合いが行われることです。
例えば、被相続人の遺言書が無い場合、相続人全員で遺産の分配について話し合い、結論を出します。相続人全員が納得した時は、遺産分割協議書を作成し、話し合った内容を記載します。遺産分割協議は被相続人の財産の分配を話し合う機会であり、相続を進める上で避けられないことです。協議に参加する相続人は、冷静な判断や対応が求められるでしょう。
3つ目は、遺産分割調停による相続です。遺産分割調停は、遺産分割協議で相続人全員の合意が得られないケースで行います。
例えば、遺産分割協議において相続人全員の合意が得られない場合、家庭裁判所へ申し立てを行い問題の解決を目指します。仮に遺産分割調停でも合意を得られない時は、遺産分割審判を行った上で相続を決定する形です。
遺産分割調停や遺産分割審議は、遺産分割協議で相続人全員の同意を得ることができれば利用せずに済みます。
相続は上記で説明した方法によって、相続人の遺産の分配が決定します。その後、相続人は遺産相続する方法を選択し、手続きを進めます。相続人は相続する方法について、資産や負債を把握した上で決める必要があるでしょう。
以下が、遺産相続の選択方法です。
・単純承認
・限定承認
・相続放棄
ここでは、3つの方法について項目ごとに見ていきましょう。
1つ目の方法は単純承認です。単純承認とは、被相続人の全ての財産を受け継ぐことです。相続人は現金や土地などの資産だけではなく、負債も相続します。
例えば、被相続人に多額の借金がある場合、単純承認すると全ての負債を相続することになります。単純承認は一度認めてしまうと、その他の選択ができません。そのため、相続人は慎重かつ期限内に適切な判断を下してください。
以下のケースに該当すると、単純承認であると判断されます。
・相続人が遺産相続の選択する前に財産の全部もしくは一部を処分した場合
・相続人が単純承認以外を選択した後、財産(全てもしく一部)を隠した上で処分し、悪意を持って財産目録に記載しない場合
・熟慮期間内(3カ月以内)に他の選択を選ばなかった場合
相続人は、上記のケースを忘れないようにしてください。
2つ目の方法は限定承認です。限定承認とは相続した財産の限度内で、被相続人の負債を弁済する制度のことを指します。
例えば、相続人が100万円の遺産を限定承認した場合、その金額以内の負債のみを弁済するようになります。被相続人の財産が不透明な時には、有効な方法です。限定承認は相続財産を限定する一方、それ以上の負債を相続する必要がありません。
3つ目の方法は相続放棄です。相続放棄は、被相続人の全ての財産を引き継がない制度です。
例えば、資産よりも負債が多い場合、相続放棄することで弁済する義務を免れます。ただし、相続放棄を選択する相続人は、3カ月以内(相続の開始を知ったタイミング)に家庭裁判所に申述しなければなりません。
相続放棄を選択した方は相続人から外れ、最初から該当者に当てはまらないと扱われます。相続人は、被相続人の財産を把握した上で判断することが重要になるでしょう。
被相続人の財産を相続する方は、遺言書や遺産分割協議などの方法によって分配が決定します。
以下が、遺産相続の対象となる財産一覧です。
・預貯金
・有価証券関係
・不動産関係
・その他の財産
遺産相続の対象となる財産を項目ごとにご紹介します。
預貯金とは、各金融機関の銀行口座に預けている被相続人の財産です。遺産相続の手続きを進める際は、各金融機関の所定の書類を提出する必要があります。さらに、相続人全員の署名と実印の押印、印鑑証明書を書類と合わせて提出します。相続人は、遺産分割協議において預貯金の有無や手続きを話し合ってください。
有価証券には、「株券」・「手形」・「債券」・「証券」などが挙げられます。被相続人は自宅だけではなく、証券会社や銀行などに保管しています。換金する場合は、所定の手続きを取らなければなりません。相続人は、被相続人が保有している有価証券を全て調べる必要があります。
不動産関係としては、被相続人の名義である建物や土地などが該当します。建物や土地の有無に関しては、自宅にある証書で確認することが可能です。また、自治体が発行する名寄帳を使い、土地や不動産を把握できます。相続人は、複数の方法から被相続人の不動産を調査してください。
その他の財産には、「現金」・「自動車」・「貴金属類」などがあります。各財産を確認するためには、自宅にある金庫や保存場所などを1つずつ確かめる方法が有効な方法です。貴金属類は自宅に保管していると財産に含まれるため、相続の対象になります。
上記では遺産相続における資産を項目ごとに挙げました。財産には資産だけではなく、負の財産も存在します。
以下が遺産相続における負の財産です。
・借金
・公租公課
ここでは負の財産を2つほどご紹介します。
1つ目の負の財産は借金です。借金には、「借入金」・「買掛金」・「保証債務」などが挙げられます。さらに、住宅ローンやクレジットに関しても負の財産に含まれます。
例えば、銀行からお金を借りている場合、問い合わせすることで金額を確認できます。相続人は契約書や各金融機関などに確認し、全ての財産を把握してください。
2つ目の負債は公租公課(こうそこうか)です。公租公課には、「住民税」・「所得税」・「固定資産税」などが挙げられます。確認する方法としては、督促状で確かめることが可能です。他にも、被相続人の住民票がある役場に問い合わせると確認できます。被相続人しか把握できないものもあるため、確認を怠らないようにしましょう。
ここまで、遺産相続の対象となる財産をご紹介しました。財産の中でも遺産相続の対象外となるものがいくつかあります。
以下が遺産相続の対象外になる財産一覧です。
・一身専属権
・年金、各種の保険金
・祭祀財産
遺産相続の対象外になる財産を3つほどご紹介します。
1つ目は一身専属権です。一身専属権は、特定の方のみが所有または行使できる権利のことを指します。何かしらの一身専属権を被相続人が持っていた場合、相続人に相続されません。
一身専属権としては、「代理権」・「親権」・「雇用契約上の地位」・「生活保護受給権」が挙げられます。相続人は遺産を調査する際に一身専属権に該当するものがないのか、確認しなければなりません。区別できない場合は、専門家に相談することをおすすめします。
2つ目は年金・各種保険金です。遺族年金や生命保険金は受取人の権利になるため、相続税に該当しません。ただし、みなし相続財産に該当し、相続税の課税対象になります。みなし相続財産とは、法律上の相続財産に該当しない一方、相続税において課税される財産のことです。
例えば、相続人が被相続人の生命保険金を受け取る場合、金額に応じた相続税を支払わなければなりません。そのため、みなし相続財産を相続する方は相続税を忘れてないように留意してください。
3つ目は祭祀財産です。祭祀財産とは祭祀(祖先や神をあがめる儀式)の際に必要となる「家系図」・「仏壇」・「位牌」・「墓石」などを指します。被相続人から相続人に引き継がれますが、相続財産に該当しません。相続の際には、遺産相続の対象にしないようにしてください。
遺産相続の悩みや疑問を抱いている方は、専門家に相談しましょう。なぜなら、専門家に相談することで、的確なアドバイスを受けたり、代行したりとサポートしてもらえるからです。
例えば、遺産分割協議書や相続関係説明図が必要な場合、行政書士に依頼すると手に入れることができます。また、その都度アドバイスを受けることも可能です。依頼者様は専門家に遺産相続の相談をし、さまざまな負担を軽減しましょう。
弊所では、依頼者様に負担をかけないサービスを提供しています。ご依頼者様に印鑑1本を用意していただければ、遺産相続の手続きができる取り組みを目指しています。また、ヒアリングしながら依頼者様の心の負担を軽減できるように努めています。
法律上取り扱えない分野に関しては、「税理士」・「司法書士」・「弁護士」の各専門家にお繋ぎすることが可能です。ご依頼者様を最初から最後まで全力でバックアップします。
今回の記事では、遺産相続の種類と対象になる財産をご紹介しました。遺産相続は遺言書の有無や相続人の話し合いによって、取るべき方法が変わってきます。また、相続人の意向により財産を引き継がない選択もあります。遺産相続に臨む相続人は、ある程度の知識を身につけましょう。相続に関する悩みや不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
長岡行政書士事務所代表
横浜市港南区に事務所を構え、過去500件以上の相続や遺言等の経験から、不安を抱えるお客様の直面している課題をいかに負担少なく解決するかを考え実現している。