長岡行政書士事務所監修
長岡行政書士事務所監修
「任意後見制度は、どのような制度なのか…」
「後見内容を自由に決められるのは本当…?」
「任意後見制度を詳しく知りたい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
任意後見制度は、成年後見制度の中にある制度の1つです。この制度は、被後見人が後見内容や支援者を自由に決めることができます。ただし、全ての内容が認められるわけではありません。任意後見制度を利用する方は、事前に制度の内容を把握する必要があります。
今回は任意後見契約において、後見内容を自由に決められるのか解説します。また、任意後見に関する基本的なことも見ていきましょう。この記事を最後まで読んだ方は、任意後見制度を理解し、有効に活用できるはずです。
長岡:「こんにちは!長岡行政書士事務所・代表の長岡です。」
Aさん:「こんにちは!よろしくお願いします。」
Aさん:「今回は任意後見制度に関することで質問があります!」
長岡:「わかりました。遠慮せずに質問してください。」
Aさん:「任意後見制度では任意後見契約を結びますよね。」
Aさん:「任意後見契約を結ぶ場合は後見内容を決めるはずですが…」
Aさん:「自由に決められるのは、本当ですか?」
長岡:「確かに、その部分は気になりますよね!」
長岡:「では、後見内容の決定も含めて任意後見制度について解説しましょう!」
Aさん:「はい、よろしくお願いします。」
長岡:「こちらこそ、よろしくお願いします。」
長岡:「まずは、任意後見制度の基本を学んでいきましょう!」
長岡:「以下では、4つの項目を見ていきますね。」
・任意後見制度とは
・任意後見制度のメリットとは
・任意後見制度のデメリットとは
・任意後見制度を利用するケース
長岡:「それでは、よろしくお願いします。」
Aさん:「はい、よろしくお願いします。」
任意後見制度は、将来に備えるために利用する制度のことを指します。利用者である被後見人は自らの判断能力のある状態で、後見内容や支援者(※任意後見人)を決めることが可能です。
例えば、将来の財産管理に不安を抱えている場合、後見内容に具体的な管理方法を記載できます。さらに、任意後見人(※1)に執行してもらいたい後見内容を明確にしていると納得のできるサポートを受けられるはずです。
被後見人は任意後見制度を利用することで、自らの意向に沿ったサポートを受けられるでしょう。また、自らが希望する人物に支援者を依頼できるため、安心感を持ちながら制度を利用できます。
任意後見制度を利用する場合は、被後見人と任意後見人との間で契約を結びます。この契約のことを任意後見契約と言います。任意後見契約は公証人(※2)が作成する公正証書で作成しなければなりません。
契約を締結後、被後見人の状態によって申立人(※3)が家庭裁判所に申立てを行います。そして、家庭裁判所において任意後見監督人が選任されるのです。任意後見監督人が確定した場合に任意後見契約の効力が発生します。任意後見人は任意後見契約の内容に沿いながら、被後見人をサポートします。
任意後見制度は、将来に備えるために活用できる有効な方法の1つと言えるでしょう。
(※1)契約を結んだ時は、任意後見受任者と呼びます。
(※2)法務大臣が任命した人物のことを指します。
(※3)被後見人本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者が対象者になります。
任意後見制度には、さまざまなメリットがあります。被後見人は、事前にメリットを理解しておくと有効に利用できます。
以下が、任意後見制度の4つのメリットです。
・被後見人が後見人を指定できる
・被後見人の希望に沿った後見内容を決められる
・被後見人の不安を解消できる
・後見監督人が後見人を監督できる
任意後見制度は、被後見人本人が支援者である任意後見人を指定できます。被後見人は自らのサポートを親族や親しい友人等に依頼できるため、安心できるでしょう。また、複数人の任意後見人を選ぶこともできます。被後見人は親族と専門家の2人を選ぶと、より安心感が持てます。
任意後見制度のデメリットにはさまざまなメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。任意後見人は、任意後見制度を利用する前にメリットとデメリットの両方を把握しておくことをおすすめします。
以下が、任意後見制度の4つのデメリットです。
・制度を利用するタイミングに悩む
・手続きに時間と労力がかかる
・被後見人が亡くなった後、財産管理や事務を行えない
・任意後見人は取消権を有していない
任意後見制度は申立人が家庭裁判所へ申立てをしなければ、効力が生じません。また、任意後見制度を利用するタイミングが難しくなっています。被後見人は自らの都合で制度を利用できますが、最適なタイミングを見計らわなければなりません。
被後見人は判断能力がある状態でも、都合の良いタイミングで制度を利用してください。
被後見人は判断能力がある状態で制度を利用できるため、将来に不安を感じた時に検討することが可能です。任意後見制度を利用する場面としては、以下のようなケースが挙げられます。
・財産管理
・身上監護
・その他
被後見人は、任意後見人に財産管理や身上監護を任せられます。任意後見契約を結ぶ際に後見内容を明確にしておくことで、具体的かつ円滑にサポートを受けられるでしょう。一方、任意後見人は、事前に決定した後見内容の範囲内で支援や保護を行えます。
任意後見契約を結ぶ際は被後見人と任意後見人との間で話し合いを行い、双方が合意できる後見内容にしてください。
長岡:「ここまで、任意後見制度について基本的なことを学んできましたね。」
長岡:「それでは、本題の後見内容は自由に決められるのか解説しますね!」
Aさん:「はい、お願いします!」
長岡:「任意後見契約の後見内容は、自由に内容を決めることができます。」
長岡:「これは、契約自由の原則が関係しています。」
※契約自由の原則とは、当事者間で結んだ契約を国家に干渉されずに、契約内容を尊重できることです。
長岡:「そのため、被後見人と任意後見人の双方が合意すれば、自由に後見内容を決められます。」
Aさん:「そうなんですね。本当に自由に決められるですね!」
長岡:「ただし、注意しておくポイントがあります。」
長岡:「それは、法律に反する行為は認められないことです!」
長岡:「また、任意後見人の主な仕事は財産の管理と介護面や生活面の手配になります。」
長岡:「実際に食事を作りたり、介護したりする行為は、対象外です。」
長岡:「後見内容は、任意後見人がサポートできる範囲内で決めましょう!」
長岡:「さらに、後見内容を具体的に決めておくと、双方が納得のできる契約を結べます。」
Aさん:「なるほど。よくわかりました!」
Aさん:「今回もありがとうございます。」
長岡:「こちらこそ、ありがとうございます。」
長岡:「また、何かありましたら相談してください。」
任意後見制度は、被後見人の意向を尊重できる制度です。被後見人は自らが選んだ任意後見人にサポートしてもらえるため、業務を安心して任せられるでしょう。今後、任意後見制度を利用する方は、以下の手順で進めることになります。
1.制度の内容を把握した上で、利用を検討する
2.被後見人が任意後見受任者(※1)を選ぶ
3.後見内容を考え、決定する
4.任意後見契約を公正証書で締結する(※2)
5.申立人が家庭裁判所へ申立てをする
6.家庭裁判所で審判され、任意後見監督人を選定する
7.任意後見監督人が選任される
8.任意後見契約の効力が生じる
9.任意後見人の業務を開始する
任意後見制度を利用する場合は、手続きの流れを把握しましょう。また、任意後見契約だけではなく、他の委任契約も検討してください。
例えば、任意後見契約を開始する前に財産管理委任契約を結んだ場合、体調が良くない時に
本人に代わり、財産管理等を行ってくれます。さらに、死後事務委任契約を結んでいると委任者本人が亡くなった後の事務を受任者に任せられます。
今後、任意後見制度を利用する方は、他の委任契約も含め検討しましょう。任意後見制度に関することで困っていることがあれば、一度弊所にご相談ください。
(※1)後に任意後見人と呼ばれます。
(※2)「移行型」・「即効型」・「将来型」の3つの類型があり、その中から被後見人の状態に合ったものを選択します。
弊所は、ご依頼者様に負担をかけないサービスを提供できるように日々取り組んでいます。ご依頼者様には印鑑1本を用意していただければ、手続きが完了できる仕組みを目指しています。また、ヒアリングを行いながら、ご依頼者様の身体の負担を軽減できるように努めています。
弊所では、法律上取り扱えない分野に関して、各分野の専門家である「弁護士」・「司法書士」・「税理士」にお繋ぎいたします。事案の相談から解決するまで、全力でバックアップします。
任意後見に関する不安や疑問を抱いている方は、専門家に相談してください。専門家は任意後見に関する知識や経験を持っており、状況に合った解決策を提案してくれます。また、問題を解決するために手続きを代行してくれることも可能です。
例えば、任意後見制度を検討している場合、専門家に相談することで適切な助言をもらえます。また、他の委任契約(財産管理委任契約や死後事務委任契約など)を結び、より安心したサポートを受けられるように体制を整えてくれます。ご依頼者様は、任意後見契約に関する手続きにかかる時間や労力を軽減できるでしょう。
任意後見制度に関する悩みや疑問を抱えている方は、一度専門家に相談してください。
今回の記事では、後見内容を自由に決められるのか解説しました。任意後見制度は、被後見人の自らの意向を尊重した後見内容と支援者を決められます。ただし、法律に反する行為については認められません。また、任意後見人に選任されない方もいるため、事前に確認しておきましょう。任意後見制度に関する悩みを抱えている方は、一度弊所に相談ください。弊所では、ご相談者様に最適な解決策を提案いたします。
長岡行政書士事務所代表
横浜市港南区に事務所を構え、過去500件以上の相続や遺言等の経験から、不安を抱えるお客様の直面している課題をいかに負担少なく解決するかを考え実現している。