長岡行政書士事務所監修
長岡行政書士事務所監修
「家族信託とはなに…」
「どのような仕組みになっているのか…」
「注目される理由や利用する場面を教えて欲しい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
家族信託は、財産管理を行う方法の1つです。財産を保有している方は、家族に財産管理を託すことで、将来への不安や心配を解消できます。自分の財産を第三者ではなく、信頼できる家族に託せることができるため、前向きに利用を検討する方もいます。
家族信託を利用する際は、どのような手続きを行うべきなのか理解する必要があるでしょう。
今回は、家族信託について紹介します。また、注目される理由や利用する場面も見ていきましょう。この記事を最後まで読んだ方は家族信託への興味や関心が高まり、利用を検討するでしょう。
家族信託は、財産を保有している方が家族に財産管理を託せられる方法です。この方法は成年後見制度とは異なる部分があり、さまざまな特徴があります。家族信託ならではの特徴があり、状況によって利用しやすいでしょう。
以下では、2つの項目について紹介します。
・家族信託とは
・家族信託の仕組み
ここでは、家族信託について項目ごとに見ていきましょう。
家族信託とは自らの財産(預貯金や不動産など)を、家族に管理や処分を託す方法のことを指します。財産を保有する方は生前や自らの判断能力が下がる前に、信頼できる人物に管理・処分・運用を任せられます。
例えば、将来的に老後や介護などに備えたい場合、家族信託の手続きを進めます。家族信託は、信託契約を結ぶことで財産の保有者本人の意向を尊重しやすくなるのです。契約の際には話し合われた内容に従い、財産管理や資産運用を行いやすくなるでしょう。また、柔軟に財産の継承を進めることができます。
相続前に家族への負担を軽減しながら、自らの意向に沿った内容で財産の管理や処分を任せられるでしょう。
信託財産に含まれる現金を銀行口座で管理する場合は、信託専用の口座を開設してください。(※分別管理義務に従い、それぞれの資産を分けるため)信託契約によって託された信託財産は、委任者のために使用することを忘れないようにしましょう。
家族信託は家族に財産の管理を任せられ、老後や万が一の時に備えることができる方法です。また、被相続人の財産を受け継ぐ際に円滑な相続手続きを進められます。
財産の保有者は生前に財産の管理を任せられるため、相続時に自らの預貯金の凍結や財産の調査などに関する家族への負担を軽減できるでしょう。
家族信託の仕組みとして、以下の三者によって構成されます。
・委託者(いたくしゃ)・・・財産を保有し、受託者に託す方
・受託者(じゅたくしゃ)・・・委託者から財産を託され、管理や処分をする方
・受益者(じゅえきしゃ)・・・託された財産から利益が発生した際に、受け取れる方(※1)(※2)
(※1)受益者が委託者になるケースもある
(※2)複数人の家族に受益者を設定できる
委託者は受託者を選んだり、辞めさせたりする権利を持っています。受託者に関しては、財産を管理する権限を有しています。
さらに、「善管注意義務(※3)」・「忠実義務(※4)」・「分別管理義務(※5)」などの義務を負っており、責任ある行動が求められているのです。受託者は権利を有しながら、義務を果たす必要があります。
(※3)善良な管理者の注意をもちつつ、事務等を処理すること
(※4)忠実に義務を遂行すること
(※5)委託者の財産と受託者の財産を完全に分け、管理すること
家族信託は成年後見制度と異なる点があり、注目を集めています。注目される理由としては、以下の3つが挙げられます。
・理由①:未然にトラブルを防げる
・理由②:他の制度より利用しやすい
・理由③:遺産相続への不安が解消される
ここでは、家族信託が注目される3つの理由を項目ごとに見ていきましょう。
1つ目の理由は、未然にトラブルを防げるからです。財産を保有する方が健全な状態で手続きを進められます。
例えば、認知症等になる前に家族信託の手続きを行った場合、預貯金の解約や名義変更などの相続手続きにおいて負担を軽減できます。さらに、遺産相続協議で相続人同士の意見が合わずにトラブルになるリスクを可能性があります。
家族信託は未然にトラブルを防ぎつつ、円滑に相続を進められます。財産を保有する方は、自らの判断能力が十分なうちに家族信託を検討しても良いでしょう。
ただし、信託契約を結ぶ際には内容を明確に記載してください。信託契約を結んだ内容が曖昧の場合、委託者の意向が反映されにくくなります。また、信託契約を結ぶ場合は、公正証書で作成することが望ましいでしょう。さまざまなトラブルを防ぐためには、信託契約の前から着実に準備を進めてください。
2つ目の理由は、他の制度より状況によって利用しやすい場合があります。
例えば、家族信託を利用した場合、判断能力がある時に財産の管理を家族に任すことが可能です。また、委託者の意向に沿った財産の管理や処分ができるでしょう。
その一方で、任意後見制度を利用した場合、効力が生じてから時間がかかります。さらに、家庭裁判所の審判によって後見人等の監督者が選ばれるため、財産管理を保全する意味合いが強くなります。(ただし移行型任意後見契約を締結した場合は委任契約の時点で効力が発生しますので双方の制度を鑑みてうまく活用することが望ましいです)
家族信託は委任者の意向に沿った財産の管理や処分が行いやすく、将来へのさまざまな負担も軽減できるでしょう。
3つ目の理由は、遺産相続への不安が解消されるからです。財産を保有している方は判断能力がある間に、家族へ自らの財産を管理や処分を任せられます。
例えば、委託者が受託者に不動産の管理を任させた場合、自らの負担を軽減できます。また、自らが亡くなった際に遺産相続で相続人同士がトラブルになるリスクを減らせる可能性があります。
委託者は自らの財産を管理や処分を行う受託者を決めておくと、遺産相続への不安や心配が解消しやすくなるでしょう。
家族信託は財産を保有する方にとって、将来の不安や心配を解消できる有効な方法です。家族に財産の管理や処分を任せられるため、安心感が得られるでしょう。以下では、家族信託を利用できる対策を2つ挙げています。
・利用する場面①:両親の認知症への対策
・利用する場面②:障がいを抱えている子どもへの対策
ここでは、家族信託を利用できる対策について、詳しく紹介します。
1つ目の場面は、両親の認知症への対策です。家族信託は、財産を有している方の判断能力がある時に家族へ管理・運用・処分を託せます。また、判断能力が低下したとしても、事前に信託契約を結んでいるため、トラブルを防ぐことが可能です。
両親が認知症等により判断能力を失った際に家族信託を利用していると、預貯金を下したり、不動産を処分したりと手続きを進めやすくなります。また、委任者の意向に沿った財産の管理・運用・処分ができます。家族信託は両親の認知症への対策として、有効な方法の1つです。
ただし、銀行口座に関しては信託専用の口座を開設し、受託者の個人口座と分けてください。信託専用の口座は委託者のために使用されるため、目的に沿った管理や運用を心掛けましょう。
2つ目の場面は、障がいを抱えている子どもへの対策です。子ども自身が財産管理のできない状態の場合、両親が委託者として親族(受託者)と信託契約を結びます。
例えば、両親が委託者として親族と信託契約を結ぶ場合、子どもを受益者に選んで財産の利益が受け取れるようにします。委託者である両親は将来的に子どもが利益を受け取れるため、金銭的な心配事を減らすことが可能です。
委託者は受託者となる親族と話し合いを重ねながら、契約を結びましょう。
弊所は、ご依頼者様に負担をかけないようにさまざまなサービスを提供できるように取り組んでいます。ご依頼者様には印鑑1本を用意していただければ、各種の手続きが完了できる仕組みを目指しています。さらに、ご依頼者様とヒアリングを行いながら、心の負担を軽減できるように努めています。
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後見・相続の悩みや疑問を抱いている方は、専門家に相談してください。専門家は後見・相続に関する知識や経験を持っており、円滑に問題を解決へ導くことができます。また、ご依頼者様に代わって、円滑にさまざまな手続きを進められます。
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今回の記事では家族信託について、注目される理由や利用する場面をご紹介しました。家族信託は、財産を所有する方が家族に管理・運用・処分を託せられる方法です。この方法は法定後見制度とは異なり、自らの財産を管理する方を家族内から選んだ上で託すことができます。第三者ではなく、親族に財産の管理や処分を託したい方に向いています。信託契約を結ぶ場合は公正証書で作成することが望ましいため、専門家に依頼しても良いでしょう。後見・相続に関する不安や悩みを抱えている方は、一度弊所に相談してください。
長岡行政書士事務所代表
横浜市港南区に事務所を構え、過去500件以上の相続や遺言等の経験から、不安を抱えるお客様の直面している課題をいかに負担少なく解決するかを考え実現している。