長岡行政書士事務所監修
長岡行政書士事務所監修
「遺言執行者の主な業務って、なに?」
「遺言執行者はどのような義務を負っているのか…」
「具体的な義務を詳しく知りたい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
遺言執行者は、遺言者が遺言書を作成する際に指定・指名できる人物です。遺言者から指名された人物は、就任の有無を判断します。就任した遺言執行者は遺言の内容に従い、手続きを執行します。
遺言執行者はいくつかの義務を負いながら、相続等の手続きを進めなければなりません。
今回は遺言執行者が負っている5つの義務を解説します。この記事を最後まで読んだ人は、遺言執行者のことを理解できるでしょう。
遺言執行者を選任する方法としては、「遺言者が指定と指名をする」・「第三者が選任する」・「家庭裁判所が選任する」の3つが挙げられます。
1つ目の選任方法である遺言者が遺言執行者を選任する際は、遺言書に「指定すること」と「指名する人物」を記載します。
2つ目の方法である第三者が選任する場合は遺言書にその旨を記載し、作成させる必要があります。この方法は相続をする際に遺言執行者を選任するため、現状に適した人物を選べるメリットがあります。
3つ目の家庭裁判所が選任する場合は、利害関係人が申立てをしなければなりません。家庭裁判所が選任するケースとしては、「遺言書に遺言執行者の指定がない」や「指名した人物が亡くなっている」が挙げられます。
遺言書の内容に「子どもの認知」や「相続人の廃除」が記載されている場合は、遺言執行者を選任しなければなりません。遺言者や利害関係人は遺言書の内容によって、遺言執行者の選任を検討しましょう。(※1)
(※1)相続人の負担を減らすために、遺言執行者を選任するケースもあります。
遺言執行者は、遺言の内容を執行する大事な役割を担っています。業務を執行する際には、以下の5つの義務を負っています。
・義務①:就任の通知
・義務②:財産目録の作成
・義務③:健全な財産管理
・義務④:報告
・義務⑤:相続人への財産の引き渡し
ここでは、遺言執行者が負っている義務を項目ごとにご紹介します。
1つ目の義務は、就任を通知することです。遺言執行者の指名を受けた人は、就任するのか検討した上で判断を下します。(※1)就任を決めた後、遺言執行者は相続人全員に対し、その旨を通知しなければなりません。
就任の通知をする場合は、遺言書の写しや簡単な自己紹介を記載した紙を添付しておくと、相続人も理解しやすいでしょう。遺言執行者に就任した人は、速やかに通知を行ってください。
民法1007条では、以下のように定められています。
・遺言執行者の任務の開始
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
2つ目の義務は、財産目録を作成することです。就任後、遺言執行者は被相続人の財産を調査し、財産目録を作成します。また、財産は資産だけではなく、負債も含まれます。
例えば、複数の預貯金や不動産がある場合、全ての財産を調べ、特定する必要があります。仮に遺言書に遺言者が作成した財産目録が合った場合であっても、新たな財産が存在しないのか、調べなければなりません。
遺言執行者は全ての財産を調査した上で財産目録を作成し、相続人に送付してください。
民法1011条では、以下のように定められています。
・相続財産の目録の作成
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。
3つ目の義務は、健全な財産管理をすることです。遺言執行者は善管注意義務があり、適切に相続財産の管理をする必要があります。また、通常期待される注意義務を怠らず、速やかに手続きを進めなければなりません。
遺言執行者は被相続人の財産を管理し、各種手続きを執行してください。
4つ目の義務は、報告をすることです。遺言執行者は各種手続きの状況について、相続人へ報告しなければなりません。さらに、相続人から進捗状況を聞かれた場合は、正しく伝える必要があります。
相続の手続きが完了した後は、相続人全員へその旨を報告してください。遺言執行者は状況に応じ、相続人に真摯に対応しましょう。
5つ目の義務は、相続人への財産の引き渡しをすることです。遺言執行者は、被相続人の所有する預貯金の解約や名義変更を行い、相続人に財産や権利を引き渡さなければなりません。
例えば、遺言執行者の預貯金が複数ある場合、全ての財産の手続きを進めた上で相続人に分配します。遺言執行者は被相続人の財産を調査した上で、全ての手続きを進める必要があります。各種手続きの終了後、遺言の内容もしくは法定相続分に応じた分配をしてください。
遺言執行者は手続きに費やした費用に関して、相続人に請求できます。ただし、私的財産を使用したり、損害を与えたりした際は、その分の費用を支払わなければなりません。手続きを執行する遺言執行者は、適切な対応を取るようにしてください。
遺言に関する悩みや疑問を抱えている場合は、行政書士等の専門家に相談してください。専門家は遺言や相続に関する知識や経験を有しており、冷静な判断を下すことができます。また、ご依頼者様にさまざまなアドバイスができます。
例えば、公正証書遺言の作成を専門家に依頼した場合、最適な提案を受けられます。さらに、ご依頼者様に代わり必要書類を集めたり、2名の証人を準備したりすることもできるのです。
ご依頼者様は手続きにかかる時間や労力を減らしながら、効率的に進められます。早急に遺言や相続に関する悩みを解決したい方は、一度弊所へお問い合わせください。
今回の記事では、遺言執行者が負っている5つの義務を解説しました。就任後、遺言執行者は義務を負いながら、1つずつ相続の手続きを進める必要があります。また、民法で定められたことに関して、確実に実行しなければなりません。相続人への通知や財産目録の作成などの業務を忘れずに執行してください。
弊所は遺言書の作成や相続の事案に対し、迅速かつ丁寧に対応できます。ご依頼者様の状況に応じ、適切な対応を取ることが可能です。遺言や相続に関する悩みを抱えている人は、弊所へご相談ください。
長岡行政書士事務所代表
横浜市港南区に事務所を構え、過去500件以上の相続や遺言等の経験から、不安を抱えるお客様の直面している課題をいかに負担少なく解決するかを考え実現している。